茨城県東茨城郡を拠点に、外構・土木の公共工事を主軸とする株式会社河原井。創業は2011年2月と同地域の土木関連会社の中では比較的若めではあるが、丁寧な施工と高い技術力が評判を呼び、創業から10年が経つ頃には工事依頼の絶えない会社となった。
仕事の増加は事業規模拡大の契機となるが、その成否を決めるのが、工事にあたる職人の確保と社内体制の構築だ。そこで株式会社河原井では、建設業向け統合型ビジネスツールの「CAREECON Plus」を活用することで採用を充足させ、着実な事業拡大を成し遂げている。
「CAREECON Plus」の導入により認知拡大、そして仕事の獲得に成功。さらに職人の採用まで成功させたその施策について、同社の河原井取締役に伺ってみた。
震災で仕事量が激減、「CAREECON Plus」の導入で再起を目指す
株式会社河原井の創業は、前述のように2011年2月。法人化して間もなく東日本大震災が発生し、民間工事が相次いで停止するタイミングと重なってしまう。また、自治体主導の復興事業も、まだ会社が認知されず入札に参加できない状況。取締役は「とにかく、何でもやりましたね。利益は少ないかもしれないけど手伝いで仕事をもらって何とか乗り越えたような感じです」と、創業当初は大変な時期だったと語る。
そんな経験から、会社の存在を知ってもらう「認知」や「採算管理」の重要性を痛感し、創業2年目で、マーケティングから採用管理、施工管理、経営管理まで行える建設業特化の統合型ビジネスツール「CAREECON Plus」の導入に踏み切った。
まずは民間工事の獲得を狙った。認知獲得のために「CAREECON+」のマーケティング機能を活用し、Webサイトを制作することから始める。公共事業を主体事業として活動してきた同社にとって、民間工事を受注するための営業スキルに不安があり、「Webサイトが営業の代わりになれば」との思いがあった。
サイト公開直後から見積り依頼が発生し、売上増加へ
BRANUではペルソナやカスタマージャーニーを擦り合わせたうえで戦略設計し、サイトのTOPページで公共工事・民間工事それぞれの入口を設け、コンテンツの最適化を図った。結果、公開直後から見積依頼が発生。問い合わせが来たものの多くが仕事につながり、売上を伸ばすことが出来た。
(株式会社河原井のWebサイト|https://www.kawarai-co.jp/ )
(打ち合わせでは、ペルソナ策定、3C分析から導線設計や全体計画を進めた)
仕事が順調に増える一方で、お断りせざるを得ない案件も徐々に増えてきた。なぜかと言えば、増え続ける仕事に対して職人の数が足りず、請ける仕事を絞らざるを得ないためだ。数十億円規模の案件を見送ったこともあるという経験から、人材を確保して体制構築していくことで事業拡大へ繋がるのではと考えたようだ。
人材獲得のため、DXコンサルタントに相談
そこで河原井取締役はBRANUの担当者に相談し、経営課題となっていた人手不足を解消するため、Web戦略を「認知・集客」から「人材獲得重視」に方向転換した。なお「CAREECON Plus」では、各企業様専任のDXコンサルタントが伴走する体制を敷いている。これは戦略策定や事業課題を解決する施策を実行することまでを基本としており、具体的にはWeb集客や採用施策のほか、現場管理や業務効率化等も含めた経営・企業運営に関するあらゆる相談を気軽にでき、事業計画の提案・サポートを受けられるのが特長だ。
要望を受けたBRANUでは早速、同社の採用目的の設定から市場調査・分析、求職者のペルソナ設定などを行い、戦略を立て直した。
(実際の打ち合わせで使用した提案資料の一部)
施策開始3ヵ月で7件の応募を獲得、短期間で2人の採用に成功
結果としては3ヵ月で7人の応募が発生し、そこから2人採用できた。しかも、同社が望む建設業経験者と業界未経験者の両方が採用できたという。この成功の要因として、BRANUが保有している建設業の採用データを活かした求人票作成、作成した求人票の求人検索エンジンへの連携機能のほか、コンテンツをAIで作成するAIブログアシスタント機能等により、求職者へのアプローチを網羅的に行う事ができたことである。
求人検索エンジンでは顕在層へのアプローチを、コンテンツでは潜在層に向けたアプローチとターゲットに合わせて使い分けることで、応募者とのギャップも少なく応募から採用に至った率も50%を越えているという。
(顕在層は求人広告で獲得<左:求人票>し、潜在層はコンテンツ記事で対策。記事コンテンツを検索上位に表示させることで、囲い込みを狙う<右:検索結果>)
また、応募が増えてくると連絡状況なども分かりづらくなるため、応募者管理機能により自分自身で選考状況を把握できることはもちろん、DXコンサルタントとの進捗共有ができることも河原井取締役としては助かっているという。
(左:求人データベースで地域の競合状況を把握し戦略に活かす。右:CAREECON Plusの応募者管理画面。Webからの応募者を集約でき、進捗を把握しやすい)
「応募が発生した際、自分が気付かなくても担当さんが逐一連絡をくれるので。現場に出ずっぱりの我々にとって、すごく助かってますよ。応募者のかたへの連絡漏れがあっても担当さんがすぐ連絡くれて、あの人どうなりました?と気にかけてくれるんですよ」と、河原井取締役。採用は応募発生からの対応スピードが成否を大きく分けるだけに、DXコンサルタントのサポートは、同社の採用成功のポイントとなっている。
売上拡大・事業拡大の先にある目標は「地域の活性化」
同社ではさらに採用施策を進め、社内チームを何班にも分けて施工できる案件数を増やす予定だ。これが達成できれば、今までのように工事依頼を断ることも減り、売上拡大・事業拡大も視野に入る。
その先に河原井取締役が見据えているのは、居住地である城里町の活性化だ。「限界集落化が進むこの地域に、もっと若者が戻ってくるように活性化できればと思っています。まず、我々の会社が若い人材を集められれば、流れが変わってくるのかなと」。
若者の獲得だけでなく、職人として独り立ちできるような人材育成、そして地元への貢献――。株式会社河原井の目指す目標とその成功に、ぜひ期待したい。