埼玉県川口市に拠点を置く株式会社フェイスは、人々の生活に不可欠な「空気」を支える空調設備工事会社だ。工場の生産ラインやビル屋上に設置される業務用空調機・空気調和機を専門に扱い、時には6畳ほどの大きな設備の設置も請け負う。
空調機本体だけでなく、配管、ダクト、保温工事までを一貫して手がける高い専門性を強みとし、東日本全域でメーカーの強力なパートナーとして事業を展開する。その確かな技術力は、同社の最大の誇りだ。
ハローワークだけでは届かない。若手採用の反響「ゼロ」という危機
事業拡大と技術継承を目指す同社にとって、最も喫緊の課題は、未来の担い手となる若い人材の確保だった。
従来の採用活動は、主にハローワークへの求人掲載や、社員の出身校である工業高校への訪問が中心。しかし、これらの手法では期待するような成果を得られず、応募の反響がほとんどないという厳しい状況が続いていた。事実上、採用活動の努力は「反響ゼロ」の状態だったのだ。若者が情報収集の大半をインターネットで済ませる現代において、従来の採用活動は限界を迎えていたと言える。
安定した事業基盤を持つ一方で、「このままでは、将来的な成長のエンジンとなる人材不足が深刻化する」という危機意識を感じていた古澤代表。TikTokなどで自社を効果的にPRする企業の増加を目の当たりにし、WebやSNSを活用した新しい採用アプローチへの転換が急務となっていた中、BRANU(ブラニュー)からの提案を受けたことが、長年の採用危機を脱する転機となった。
(出典:株式会社フェイスのWebサイトより:https://www.faith-recruit.jp/ )
応募数8件、2名採用に成功。採用活動の「見える化」がもたらす革新
統合型ビジネスツール「CAREECON Plus」の導入は、長年の採用課題に対し、明確な成果をもたらした。導入からわずか1年で、これまで皆無に等しかった求人応募がコンスタントに来るようになったのだ。その具体的な成果は、応募数8件、そして20代の若手2名を採用という実績に結実した。一人は経験豊富な配管工、もう一人は工具の名前も知らない全くの未経験者であり、事業拡大に不可欠な多様な人材の確保に成功した結果である。
最も大きな変化は、採用活動が「見える化」された点にある。従来、ハローワークを中心とした採用活動では、求職者がどのような経路で自社にたどり着いたのか、そのプロセスは不明確であり、成果に対する評価も困難だった。しかしCAREECON Plus導入後は、「どんなルートで応募があったのか」「どのような属性の求職者がアプローチしているか」といったことが具体的なデータとして見られ、次の改善点へ繋げることができるようになった。さらに自社のサイトだけでなく、CAREECON Plusと連携投稿できる求人検索サイトにおいても、主要キーワードで高い検索順位で表示されている。
この反響ゼロからの脱却と、求職者が株式会社フェイスの魅力に気づきアプローチしてくれるようになったこの変化こそが、5年後の年商10億円達成という目標に向けた確かな一歩となったのである。単に応募が増えただけでなく、採用プロセス全体がCAREECON Plusで管理可能となり、次なる採用戦略を立案するための基盤構築に成功した結果だ。
(SNSでの採用活動を含め、各種採用媒体の受け皿・集客基盤として構築した株式会社フェイスの採用サイト:https://www.faith-recruit.jp/ )
採用の成功は「スタート」。未経験者を育てる経営と未来への年商10億円の展望
採用活動の成功は、新たな経営課題の明確化へと繋がる。特に、工具の名前すら知らない未経験者を採用した今、彼らを一人前の職人へと育成するための教育体制の整備が最重要テーマだ。かつての「仕事は盗んで覚えろ」という価値観は、仕事とプライベートを峻別する現代の若い世代には通用しない。彼らが一つの技術に特化させ、着実にスキルを身につけられるような成長しやすい環境の構築が、経営者としての最大の責務。また、技術指導だけでなく、人間関係による離職を防ぐ働きやすい環境づくりも不可欠な経営テーマだと、古澤代表は語る。
今後もブラニューの伴走により、採用活動の継続に加え、CAREECON Plusに搭載されている原価管理機能を活用した経営全体の効率化へ着手するとのこと。採用の成功を単なるゴールとせず、事業成長を加速させるための強固なパートナーシップの継続が、年商10億円達成というビジョン実現の鍵となる。
(フェイスとの採用戦略会議で使用した資料の一部)
(ブラニューのDXコンサルタント山本と株式会社フェイス古澤代表)